医療保険の必要性
医療保険は、事故や病気で入院・手術などが必要になった場合に給付金が支払われる保険です。健康保険・国民健康保険といった公的医療保険の上乗せ保険として、民間の保険会社が販売しています。
公的な医療保険には、医療費の9~7割負担をはじめ、1ヶ月の医療費の上限を定めた「高額療養費制度」など様々な手厚い制度があり、このうえ民間の医療保険にも入るべきかどうかで迷う人は少なくありません。事実、FP(フィナンシャルプランナー)のような保険のプロの間でも、医療保険は必要という意見と不要という意見にわかれています。
実は、医療保険はすべての人に必ずしも必要ではありません。加入者の貯蓄額や家族構成によっては、医療保険で備えなくても良い場合があります。ただし、医療保険が不要なケースがある一方で、加入を検討したほうが良いケースがあることも事実です。
医療保険が不要なケース、必要なケース、それぞれについて見ていきましょう。
医療保険が不要なケース、必要なケース
1. 医療保険が不要なケースとは
医療保険は、万一の入院や手術に備える保険です。給付金は医療費だけでなく、扶養家族の生活費や住宅ローン・税金の支払いなどにも充当できます。
ただし、充分な貯蓄があったり、働かなくても一定の収入(不労所得)がある等、入院しても経済的なダメージを受けにくい場合は、必ずしも医療保険を検討する必要はありません。また、勤務先の福利厚生で入院手当や休業手当が充実している場合も、あえて民間の医療保険を検討せずとも良いでしょう。
医療保険が不要なケース
- 貯蓄が充分にある(1カ月程度の入院であれば、使う予定のない余裕資金が100万~200万円程度あれば安心。ただし長期入院になるほど費用はかさむ)
- 不労所得がある(不動産の家賃収入、株の配当金など)※ただし収入が不安定な場合は注意
- 勤め先の福利厚生が充実している(入院手当や休業手当など)
2. 医療保険が必要なケース
一方で、貯金が少なく、いざというとき充分な医療費を確保できない場合は、医療保険を検討しましょう。特に、小さな子供や要介護者がいる場合は、生活費に加えてベビーシッター費用や介護費用などが必要になる場合があります。
また、サラリーマンが加入する「健康保険」と比較すると、自営業者が加入する「国民健康保険」は保障内容が薄く、傷病手当金が支給されないため、自営業者が入院中の収入減に備えたい場合は、医療保険も選択肢の一つになります。
医療保険が必要なケース
- 貯蓄が充分にない(生活費+入院でかかる費用)※特に小さい子供や要介護者がいる場合
- 長期入院に対する不安がある(1カ月以上など)
- 自営業者(傷病手当金がないため、入院中の収入が途絶えてしまう)
コラム 万一の入院時に必要となるお金とは・・・
いざ入院となった場合、当面いくらのお金があれば安心でしょうか。公的医療保険に加入している場合は、高額療養費が適用されるため、医療費は月額8~9万円に抑えることができます(一般的な収入の人の場合)。これに加えて、個室利用時に発生する差額ベッド代、入院中の生活費などを合計したものが、万一の入院予備資金となります。なお、健康保険加入者は休業4日目から傷病手当金が支給されるので要チェック。
これらの保障と、毎月の出費をチェックして、必要となる予備費用を現在の貯蓄額と比較してみましょう。
- 高額療養費 8~9万円/月
- 差額ベッド代 1日1万円×入院日数
- 入院中の生活費 (食費、住宅ローン、税金、育児・教育関連、家族の通院費用等)
※健康保険加入者は休業4日目から給与の3分の2の傷病手当がもらえる(自営業者はない)
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- 医療保険の選び方
医療保険が必要かどうか迷ったら
医療保険が必要かどうか迷ったら、保障を見直しやすい掛け捨て型の定期保険を検討してみるのもおすすめです。特にインターネットを主な販売経路とするネット保険は、保険料も安いものが多いため、「貯蓄ができるまで」「子供が大きくなるまで」といった期間限定で医療保障を確保したい場合に役立ちます。
- 掛け捨ての医療保険を選ぶ(保険料が安い)
- 人生の節目で必要保障額を見直す(医療保険の要不要も判断を)
- 定期型の医療保険を選ぶ(見直しが容易。保険料も安い)
≪ おもな医療保険を比較 ≫
入院給付日額 | 5,000円~15,000 ※1,000円単位で設定可能 | ||||
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手術給付金 | 入院給付金日額の一律10倍 ※支払い回数の限度なし | ||||
対象となる手術 | 公的医療保険の適用範囲(約1,000種類) | ||||
保障期間 | 10年 ※保障期間終了後は80才まで自動更新 | ||||
保障対象 | 日帰り入院から ※ただし、手術給付金は入院中の手術に限る | ||||
入院給付金の支払限度 | 1回の入院につき60日、通算1,095日まで | ||||
おもな特約・コース |
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保険料試算*1 |
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このサイトに行く |
入院給付日額 | 5,000円、10,000円 | ||||
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手術給付金 |
入院中:1回につき10万円、20万円 外来 :1回につき2.5万円、5万円 |
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対象となる手術 | 公的医療保険の適用範囲(約1,000種類) | ||||
保障期間 | 終身 | ||||
保障対象 | 日帰り入院から | ||||
入院給付金の支払限度 |
60日※通算1,095日まで ※七大生活習慣病の場合は120日まで(がん、心疾患、脳血管疾患の場合は支払い限度日数が無制限)オススメ! |
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おもな特約・コース | がん特約 | ||||
保険料試算*1 |
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このサイトに行く |
入院給付日額 |
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手術給付金 | 手術によって入院給付金日額の5倍~40倍 | ||||
対象となる手術 | 公的医療保険の適用範囲(約1,000種類) | ||||
保障期間 | 終身 | ||||
保障対象 | 日帰り入院から | ||||
入院給付金の支払限度 | 60日※通算1,095日まで | ||||
おもな特約・コース |
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保険料試算*1 |
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このサイトに行く |
*1 試算条件…35歳、特約なし、月払い、保険料払込期間は保険期間と同等(例外は別途記載)
コラム こんなときはどうする?
長期の入院や自宅療養になった場合に持ちこたえられるかどうか心配
長期入院や自宅療養で収入が途絶えた場合、公的医療保険では1年6カ月まで「傷病手当金」が支給されます。ただし、それを超える期間の保障はありません。
生活予備費はそこそこ貯金できているが、仕事が長期間できなくなった場合の家計が心配・・・そのような場合は、就業不能保険を検討してみてもよいでしょう。
がんなど高額な治療が必要なったときは大丈夫か
生活習慣病の中でも、がんは日本人の死因の第1位を占めます。転移や再発も多く、様々な治療方法があるため、治療費は高額になりがち。病気の中でも特に「がんが心配」という人は、がんにポイントを絞った「がん保険」を検討するのも一つの方法です。
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まとめ
特集「医療保険の必要性を考える」、いかがでしたでしょうか。
ここまでみてきたように、医療保険は加入者の家族構成や資産状況によっては、必ずしも必要とは限りません。
不要な医療保険に保険料を払い続けるよりは、そのぶんを貯蓄に回した方が良い場合もあるでしょう。
ただし、万一の入院時に、生活費や医療費が家計を圧迫しそうな場合は、自分自身や家族のためにも医療保険を検討しておいたほうが安心です。
現在の貯蓄額や家族構成、将来のライフプランを考慮したうえで、医療保険の要不要を判断しましょう。