保険の必要性を考える

がん保険は必要か-発病リスク、平均治療費から考える

「2人に1人はがんになる」。テレビやインターネットで、このような広告を見かけることがあります。これほどがんになる人が多いと言われると、がん保険は必要だと納得してしまいそうになりますが、広告はあくまで保険会社からの一方向的なメッセージ。がん保険が本当に必要かどうか知るために、まず色々なデータを確認し、自分の頭で考えることが大切です

今回の特集では、がん保険は必要か、様々なデータを用いて検証していきます。

「2人に1人はがんになる」は本当?

データの元となった国立がん研究センターの調査を確認すると、確かに生涯にわたるがん罹患リスクは、男性62%、女性46%となっています。しかしこの確率は生まれてから死ぬまでの間に罹患する割合。つまり、がんになりやすい年代については考慮されていません。例えば30歳男性では、今後10年でがんに罹患する確率は0.5%ですが、20年後は1%、40年後は21%と年齢を重ねるごとにリスクが高まるのがわかります

≪ 年齢別がん罹患リスク・男性 ≫

現在の年齢 10年後 20年後 30年後 40年後 50年後 60年後 70年後 80年後 生涯
0歳 0.2% 0.3% 0.5% 1% 2% 8% 21% 41% 62%
10歳 0.1% 0.3% 0.9% 2% 8% 21% 41% 62%
20歳 0.2% 0.7% 2% 8% 21% 41% 62%
30歳 0.5% 2% 7% 21% 42% 62%
40歳 2% 7% 21% 42% 63%
50歳 6% 20% 41% 63%
60歳 16% 39% 63%
70歳 30% 60%
80歳 54%

≪ 年齢別がん罹患リスク・女性 ≫

現在の年齢 10年後 20年後 30年後 40年後 50年後 60年後 70年後 80年後 生涯
0歳 0.1% 0.2% 0.6% 2% 6% 11% 19% 29% 46%
10歳 0.1% 0.5% 2% 5% 11% 19% 29% 46%
20歳 0.4% 2% 5% 11% 18% 29% 46%
30歳 1% 5% 10% 18% 28% 46%
40歳 4% 9% 17% 28% 45%
50歳 6% 14% 25% 44%
60歳 9% 21% 41%
70歳 13% 36%
80歳 29%

参照元:最新がん統計|がん登録・統計[がん情報サービス]

この確率を高いと考えるか低いと感じるかは個人の感覚次第ですが、年代によってがんのリスクが大きく異なることは認識しておいたほうが良いでしょう。

まとめ:がんリスクは年齢によって大きく異なる。

がんの平均入院日数・費用は?

がん保険の必要性を考えるためには、罹患する確率に加え、万が一がんになってしまった時、いくら必要になるのかを考えることも大切です。その上で十分なお金を用意できるのであれば、がん保険に入る必要はないと言えるでしょう。

厚生労働省が発表している調査結果によると、退院した患者のうち、全てのがんの平均入院日数は19.5日(※1)。1ヶ月以下という結果になりました。

≪ 部位別平均入院日数 ≫

全てのがん 胃がん 大腸がん 肝臓がん 肺がん 乳がん
19.5日 22.6日 17.5日 18.6日 21.7日 11.8日

さらに、別の医療給付実態調査平成25年度版(※2)を確認すると、がんの治療にかかった保険内治療は約64万円(保険点数を患者数で割って算出)。自己負担3割の場合、平均約21万円という計算になります。実際には、この費用をそのまま支払う必要はなく、高額療養費制度という社会保障を使うことで、毎月の限度額を8万円程度まで下げることができます(※限度額は所得により上下)。

そして、最近よく聞かれる通院治療についても、入院外治療のデータを参考に分析すると、平成25年度の通院治療にかかった自己負担金額の平均値は約1万4,000円ということがわかりました。

まとめ:入院費は平均21万円、通院費は平均1万4,000円。ただし高額療養費制度を使って安くできる。

※1 平成23年患者調査「退院患者の平均在院日数等」

※2 医療給付実態調査「平成25年度 疾病分類別、診療種類別、年齢階級別、件数・日数(回数)・点数(金額) [制度・計]」より

がん治療費用の注意点

この結果を見ると、がん治療にかかる費用はそれほど高くないので心配ないという結論に達しそうですが、実際のところ「がん保険は8万円+1万4千円の貯金があれば必要ない」と考えてしまうのは大変危険です

毎月の医療費は高額療養費制度で上限が決まっているといっても、毎月高額な治療を続ければ負担は増加。例えば厚労省の調査では、抗がん剤を使用している患者の割合は30.1%という試算※3が出ており、通院で抗がん剤治療を受けることになれば、数ヶ月~数年間の間、毎月数万円の出費が予想されます

また治療のためのタクシー代や入院時の身の回り品など、治療費以外にも出費がかかる点を忘れてはいけません。闘病中はがんによって仕事ができなくなる可能性が高いことから、やはりある程度の蓄えは必要です。

その他にも考慮に入れておきたい点として、先進医療の治療費があります。先進医療に関しては社会保険で補うことができず、治療費も高額になるため、がん保険に加入するのであれば先進医療保障が付帯したものを選ぶと安心でしょう。(※実際には先進医療まで必要になるケースはごく稀ですが、特約の金額も月100円前後がほとんど。安心のために支払う保険料と考えましょう。)

まとめ:数万円の医療費支払いが毎月続く可能性あり。交通費・雑貨費の負担も。

※3 第2回抗がん剤等による健康被害の救済に関する検討会資料

がん保険は必要か

ここまで様々なデータを検証した結論として述べることができるのは「人によってがん保険の必要性は異なる」ということです。

必要性を左右する第一の要因は貯蓄。万が一の際、医療費として使えるお金が十分にあるか、がんになって収入が止まったときの当面の生活費があるかが、がん保険の必要性に大きく関わります。例えば、がん発覚後、入院し手術。その後抗がん剤治療を1年間続けた場合を考えてみましょう。

まず、手術した月の出費は8万円。それ以降も毎月平均6万円医療費がかかると想定すると、1年間で必要になる医療費は74万円です。そして、その間収入が途絶える場合、生活費+家賃を併せた20万円を毎月支払うとすると、トータルで必要な金額は314万円となります(企業に勤めている場合は、その間傷病手当として通常の給料の3分の2が支給されます)。

あくまでこれは一例に過ぎませんが、このように自分のケースに置き換え、必要になるお金について考えることが大切でしょう

がんで必要となる費用

医療費  交通費  雑貨費  生活費  住居費

サポートする保障制度

高額療養費制度

高額な医療費を補助する制度。例えば、年収約370万円~770万円の場合、毎月の医療費の支払い上限は8~9万円程度となる。高額療養費制度を何度も年に何度も適用すると、さらに自己負担額が下がる。

傷病手当(健康保険)

病気によって仕事を休んだ日から4日目以降に支給される手当金。標準報酬日額の3分の2が1年6ヵ月後まで支給される。

疾病保障(住宅ローン各社)

がんになり一定の条件を満たすと、住宅ローン残高が0円になる保障。就業不能状態の間、住宅ローンの毎月の支払い分を保険金として支給するものもある。

また、リスクと保険料のバランスを考慮し、がん保険に入らないという選択肢もあります。がんに罹患するリスクがそもそも低い年代の方や、高額療養費制度を使えばまかなえる程度の貯金はあるという方は、保険料を支払う代わりに貯蓄にまわすことも可能でしょう。

当たり前ですが、がんにかからない限り、がん保険の保険料はただ支払うだけでリターンを得られないお金です。「とにかくがん保険に入っておく」だけでなく、「がん保険に入らず貯金する」「医療保険でカバーする」のも選択肢の一つと言えるでしょう。

最後に当サイトで人気が高いがん保険を、保険料が安い順にご紹介します。保険料と保障内容は比例するため、左から右へと保障内容は充実していきます。自分にがん保険は必要だと感じられた方は、こちらの比較表を参考にしてみてください。

≪ がん保険 ≫

SBI損保のがん保険

SBI損保のがん保険

特徴
  • 治療費としてかかった金額をそのまま保証
  • 安価な保険料が魅力
コース 定期・診断給付金有りプラン
診断給付金 100万円
入院給付金 実費
手術給付金 実費
通院給付金 実費(1,000万円まで)
先進医療給付金 実費
放射線治療給付金 実費
抗がん剤給付金 実費
その他 先進医療や自由診療の費用を直接支払い
保険料
30歳男性 970円
35歳男性 1,600円
40歳男性 3,330円

アクサダイレクト生命
「アクサダイレクトのがん定期/がん終身」

アクサダイレクト生命「アクサダイレクトのがん定期/がん終身」

特徴
  • 安価な保険料で基本の保障をカバー
  • 通院給付金がない代わりに退院給付金が付帯
コース 終身・入院給付金5,000円プラン
診断給付金 50万円 ※1回限定
入院給付金 5,000円/1日 ※上皮内新生物も可
手術給付金 10万円/1回
通院給付金 ×
先進医療給付金 通算500万円まで
放射線治療給付金 ×
抗がん剤給付金 ×
その他 退院給付金:10万円/退院1回
保険料
30歳男性 1,050円
35歳男性 1,490円
40歳男性 2,140円

アフラック
「生きるためのがん保険Days(デイズ)」

アフラック「生きるためのがん保険Days(デイズ)」

特徴
  • 手ごろな保険料で通院給付金や放射線治療
  • 抗がん剤給付金を用意
コース 終身・入院給付金5,000円プラン
診断給付金 悪性新生物:100万円
上皮内新生物:10万円
※1回限定
入院給付金 5,000円/1日 ※上皮内新生物も可
手術給付金 10万円/1回
通院給付金 5,000円/1日
先進医療給付金 通算2,000万円まで
一時金:15万円
放射線治療給付金 10万円/1回
抗がん剤給付金 5万円/月
※乳がん、前立腺がんのホルモン治療は2.5万円
その他
保険料
30歳男性 2,009円
35歳男性 2,974円
40歳男性 4,719円

AIG富士生命 がんベスト・ゴールド

AIG富士生命 がんベスト・ゴールド

特徴
  • 診断給付金は何度でも受け取り可能(2年に1度)
  • 保険料はやや高めだが、悪性新生物と一度診断されたら保険料の払込免除
コース 終身・入院給付金5,000円プラン
診断給付金 100万円
※2年に1度
※上皮内新生物は不可
入院給付金 5,000円/1日 ※上皮内新生物も可
手術給付金 10万円/1回
通院給付金 ×
先進医療給付金 通算2,000万円まで
放射線治療給付金 ×
抗がん剤給付金 ×
その他
保険料
30歳男性 2,762円
35歳男性 3,970円
40歳男性 5,975円

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