共済と保険の違いを解説。保険料(掛金)はどちらが手頃?

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共済と保険の違いは?

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共済と保険の違いは?

生命保険や医療保険とよく比較されるものに「共済(生命共済)」があります。
複数の人間がお金を出し合い、死亡・病気といった万一の事態に見舞われた人を支えるしくみは、共済も保険も同じですが、加入対象となる人や、監督官庁、使われている用語など、異なる部分も少なくありません。

共済と保険の違い

保険 共済
加入者 不特定多数 特定の地域や団体の組合員
運営者 保険会社 協同組合などの共済団体
監督官庁 金融庁 厚生労働省、農林水産省など共済団体により異なる
用語の違い
  1. 保険料
  2. 保険金
  3. 契約者
  4. 配当金
  1. 掛金
  2. 共済金
  3. 加入者(共済契約者)
  4. 割戻金
特徴
  • 単体の保障から総合保障まで幅広い保障内容
  • 終身保険と定期保険に分かれる
  • 保険期間中の保障内容は原則変化しない
  • コスト面で有利なネット保険も登場し、保険料の価格競争が激化
  • 死亡保障と医療保障がセットになった総合タイプの保障が多い
  • 定期保険(80歳まで等)がメイン
  • 高齢になると保障が減額されるケースが多い
  • 非営利運営をモットーとし、余剰金は割戻金として還元

共済と保険のもっとも大きな違いは、保険が不特定多数の人が加入できるのに対して、共済は特定地域に住む人や、JA(農協)・生協のような特定の職業・組合に所属している人のみを対象としている点です。

ただし、地域同士の共済事業を連携させたり、共済に加入すると同時に組合にも所属するしくみを作って間口を広げている共済も多く、保険と比較して大幅に対象者が絞られるわけではありません。

たとえば、4大共済と呼ばれる「県民共済」「こくみん共済」「CO・OP(コープ)共済」「JA共済」は、各地の共済連や生協・農協と連携することで、ほぼ全国に展開しており、加入件数はそれぞれ約1,900万件、約3,300万件、約800万件、約2,000万件(ともに2012年度)と、大手の生命保険にも劣らない規模を誇っています。

共済の魅力は手頃な掛金+割戻金

共済の人気の理由は、月々1,000~5,000円という手頃な掛金で充実した保障を得られる点です

また、掛金の割戻がある点も人気の理由の一つ。加入者が納める掛金は、共済金の支払いや運営経費に使用されたあと、余ったお金(剰余金)が割戻金として還付されます。非営利運営をモットーとする共済では、民間の生命保険と比較して、この割戻金(保険会社の配当金に相当)の割合が高めになっており、手頃な掛金の魅力がさらにアップしていると言えるでしょう。

共済の保障内容は広く浅く

下の表からもわかるように、共済の保障内容は、医療保障と死亡・高度障害保障のセットタイプが多くなっています。また、一部の終身型の共済以外は、一定の保障期間が定められている定期タイプで、60歳以降など一定の年齢を過ぎると高齢者向けのプランに切り替わり、保障額が減額されます。

病気・事故・死亡にまんべんなく備えられる反面、高齢時の保障が少なくなる点、死亡保障額が共済のみの保障では不充分なケースがある点などから、生命保険や医療保険とセットで利用されることが多い保険商品です

おもな共済の保障内容を比較
コース名 月掛金 保障期間 入院 手術 通院 後遺障害 死亡・重度障害 住宅災害 放射線治療 先進医療
都道府県民共済 総合保障2型 2,000円 60歳まで
※85歳まで継続可
事故:日額5,000円
病気:日額 4,500円
事故:日額1,500円 交通事故:600万円~24万円
不慮の事故:380万円~15.2万円
交通事故:1,000万円
不慮の事故:780万円
病気:400万円
こくみん共済(全労災) 総合タイプ 1,800円 60歳まで
※85歳まで継続可
交通事故:日額5,000円
不慮の事故:日額3,000円
病気:日額1,500円
交通事故:日額1,000円 交通事故:540万円~24万円
不慮の事故:360万円~16万円
交通事故:1,200万円
不慮の事故:800万円
病気:400万円
コープ共済 ≪たすけあい≫ベーシックコース 3,000円 65歳まで
※85歳まで継続可
病気・事故(ケガ):日額 5,000円
長期入院:30万円
3・6・12万円 事故:4~100万円 事故:400万円
病気:300万円
家族:1・2・5万円
3・15・30万円
JA共済 医療保障 5,449円(※) 80歳まで 災害・病気:日額10,000円
入院見舞金:1回あたり 5万円
入院中:1回あたり 20万円
外来手術:1回あたり 5万円
1回あたり 10万円 技術料相当額
  • 試算条件:30歳男性、共済期間:80歳まで、入院支払限度日数:120日、月払、特約なし

コストパフォーマンスは共済以上、ネット保険に注目

共済以外にも、手頃な保険料で充実した保障を受けられる保険商品として、近年「ネット保険」の存在がクローズアップされています。
インターネットを主な販売経路とするネット保険は、従来の保険会社と比較して営業・運営にかかるコストが低く、保険料の手頃さでは共済を上回るコストパフォーマンスを実現しています

セット型の保障が多い共済と比較すると、生命保険(死亡保険)であれば死亡保障、医療保険であれば医療保障というように、特定の保障に特化した保険が多く、保障内容のわかりやすさも特徴です。

保険期間は10年間や65歳までといった定期型に加えて、一生涯の保障が続く終身保険もあり、入院給付金や死亡保障額などの金額も選ぶことができます。総じて、共済と比較して「より自由度の高い保険商品」と言うことができるでしょう

おもなネット保険の保障内容を比較

アクサダイレクト生命

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保険の種類 生命保険 医療保険
保険料(※) 男性1,940円
女性1,460円
男性870円
女性870円
保険期間 10年間 10年間
入院 日額5,000円~1万5,000円まで
手術 入院給付金日額の一律10倍 (5万~15万円)
通院
死亡・高度障害 500万円~1億円まで ※病気・事故・災害を問わず

アクサダイレクト生命公式サイトへ行く

ライフネット生命

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保険の種類 生命保険 医療保険
保険料(※) 男性1,631円
女性1,146円
男性1,710円
女性1,612円
保険期間 10年、20年、30年、65歳まで、70歳までから選択 終身
入院 日額5,000円、8,000円、10,000円、12,000円、15,000円
手術 入院給付金日額 × 10倍(5万~15万円)
通院
死亡・高度障害 500万円~1億円まで ※病気・事故・災害を問わず

ライフネット生命公式サイトへ行く

試算条件
生命保険…年齢:35歳、保障額:1,000万円、保険期間:10年間、月払い、特約なし
医療保険…年齢:35歳、入院保障額:日額5,000円、1入院の支払限度日数:60日、月払い、特約なし

共済と保険、どちらで備える?

「充実した保障を低コストで準備したい」というのは、万一の保障を考える際に、誰もが感じることです。
インターネットの普及や金融自由化を経て、保険の世界も以前より格段に多様化・複雑化しています。一方で、ネット保険のような新しい保険が登場したことにより、従来からの保険や共済と保険料・保障内容を比較したり、共済同士や保険同士の内容を比較して、有利な商品を選ぶことが可能となりました。

たとえば、「現在加入している共済があれば、結婚・出産等を機にネット保険で死亡保障のみを補う」、「終身型の医療保険に加入しているのであれば、退職までの一定期間、共済で医療保障の増額と死亡保障を追加する」といったフレキシブルな選択をすることで、その時々の自分に合った保障を、割安に準備していくことができるでしょう。

共済と保険の違いにとらわれることなく、それぞれの商品のコストと保障内容を比較したうえで、自分のライフスタイル・ライフプランに合った保障を選んでいきましょう。

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長尾尚子
フリーランスライター。得意分野は「保険」「金融」「住宅ローン」「育児・教育」など。読む人の役に立つ情報を届けたいです。資格:消費生活アドバイザー。FP2級。2児のママ。