第9回 火災保険の相場
Chapter1:火災保険の相場
火災保険の相場は、マンションか一戸建てかによって異なります。マンションの火災保険は、専有部分(自分の戸室)にのみかけるため、同面積の一戸建てと比較すると保険料は安くなることが多いでしょう。
≪ 火災保険料を決めるおもな要素 ≫
マンション | |
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建物 |
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家財 |
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一戸建て | |
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建物 |
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家財 |
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保険金額の相場は?
火災保険の保険金額は、保険会社が試算した建物の評価額を元に決めることが一般的です。ただし、保険会社によって細かな試算条件が異なるため、必ずしも同額にはなりません。
自分で大体の保険金の相場を把握しておけば、多額の火災保険をかけすぎて余分な保険料を払うことや、反対に保険金額が足りず充分な補償を受けられないといったトラブルを避けることができます。
マンションの火災保険相場
購入額から保険金額を決める
新築マンションの保険金額は、購入額から土地や共用部分の価格を引いて求めます。土地には消費税がかからないため、購入時に支払った消費税から建物部分の価格を逆算すると良いでしょう。
建物金額=マンション購入額の消費税÷0.08
建物部分の価格を出したあとは、共用部分の価格を引きます。マンション購入額における専有部分と共用部分の割合は4.:6程度で計算されることが多いため、建物金額に0.4%をかけた数値が、専有部分の値段になります。
専有部分の購入額=建物金額×0.4
専有面積から保険金額を決める
中古マンションの場合は、保険会社が提供する1平方メートル当たりの基準単価に、専有部分の面積をかけて求めるケースが多いでしょう。保険会社の基準で計算するため、ブラックボックス化しやすい部分ですが、最近はインターネット上で試算できるようにしている保険会社や、各社の火災保険を一括で見積もってくれるサイト等もありますので活用してみましょう。
≪ 火災保険の相場を知るのに役立つサイト ≫
セゾン自動車火災保険のカスタマイズ型火災保険。基本補償以外の補償を自由に組み合わせることができる。オンライン上で簡単に保険料の試算ができ、保険料の内訳もわかるなど透明性が高い
火災保険の無料見積もりサイト。住宅データを入力すると最大5社の火災保険料を試算できる。取り扱うのは東京海上日動など6社の主要な火災保険。保険料はもちろん補償内容や割引制度を軸に火災保険を比較することも可能
なお、マンションの専有面積の計算方法には、戸室の壁の内側の面積を用いる「上塗り基準」と、壁内部の中心線から面積を求める「壁芯基準」の2通りがあります。火災保険の主流は「上塗り基準」。他の条件が同じであれば「上塗り基準」のほうが総面積も少ないため、保険料が安くなります。
一戸建ての火災保険相場
購入額から保険金額を決める
新築一戸建ての火災保険では、購入額(新築価額)を保険金額に設定するのが一般的です。また、中古住宅でも新築時の価額が分かっている場合はそれを用いることもあります。
延床面積から保険金額を決める
新築時の購入額がはっきりとわからない場合は、保険会社が提供する1平方メートル当たりの基準単価に、住宅の延床面積をかけて、評価額を求めます。マンションと同様、保険会社ごとに独自の基準があるため、各社に同条件で見積もりを依頼したり、一括見積もり等のサービスを利用して、火災保険料を比較するのがおすすめです。
Chapter2:火災保険料を抑えるコツは?
火災保険料を抑えるためには、保険料を決める要素の中から見直し可能な部分に注目するのが一つの方法です。
火災保険の場合は、「補償内容」と「保険期間」「家財の評価額」が保険料の3大節約ポイントです。
火災保険の補償内容を吟味しよう
火災保険の補償内容には、おもに下表のようなものがありますが、すべての住宅にすべての補償が必要なわけではありません。たとえば、マンションの高層階であれば、洪水や床上浸水を補償する「水災」が不要なケースも多いでしょう。
自分の住宅を取り巻くリスクを洗い出し、必要な補償のみをかけるようにすれば、火災保険料を大幅に抑えることができます。
最近は、補償を自由に選べるカスタマイズ型の火災保険や、複数の補償プランを用意している火災保険も多いため、各社の補償内容をよく比較してみましょう。
≪ 火災保険のおもな補償内容 ≫
火災リスク |
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風災リスク |
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水災リスク |
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その他 (保険会社によって区分方法が異なる) |
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保険期間は長いほうが安い
火災保険は、原則として1年間の契約が基本です。ただし、ほとんどの火災保険は2年以上のプラン(2~36年など)も用意しており、契約者の希望にあわせてプランを組むことができます。
一般的には、5年・10年等、ある程度まとまった年数でかけたほうが火災保険料は安くなります。ただし、期間分の保険料は一括払いになることが多いため、まとまったお金を用意しづらい場合は、当初の保険期間を短めにするか、長期契約でも年払い・月払いが可能な保険会社を探すと良いでしょう。
家財の補償は評価額通りにかけなくてもOK
火災保険では、建物とは別に、家財に対する損害もカバーすることができます。家財の補償内容や保険期間は、建物の場合とほぼ同様。保険金額は、家族の構成人数や世帯主の年収によって決める方法が一般的です。保険会社には家財保険金額の基準表を用意しているところが多いため、見せてもらっても良いでしょう。
一昔前の火災保険では、保険会社の評価額通りに保険をかけなければ、たとえ家財が全焼した場合でも充分な補償を受けられないケースが見られましたが、現在の火災保険では評価額より低めに設定しても設定額通りの補償を受けることができます。
「入居直後で、まだそれほど家財が少ない」「補償額を低めにして火災保険料を節約したい」といった場合は、家財の保険金額を見直すのも一つの方法です。
また、建物にとって必要でも、家財には不要な補償(たとえば、台風などの被害をカバーする「風災」など)もあるため、建物とは別に補償内容を選ぶことができる火災保険のほうが有利でしょう。
ちなみに、家財の保険期間は、長くても5年程度が良いと言われています。家財は建物と異なり、居住年数が長くなるほど資産としての合計額が増えていくという特徴があります。そのため、建物を長期で契約した場合でも、家財は短めの期間で契約し、定期的に保険金額を見直せるようにしておくと良いでしょう。