日本人の死因第1位の病気・がん。入院が長期に及ぶことも多く専門的な治療を必要とするため、他の病気と比較しても治療費がかさみやすい病気と言われています。
しかし保険コンサルタントの後田亨氏によると、がん治療にかかると想定される金額と実際かかった治療費とでは、大きく差が生じているそうです。

アメリカンファミリー生命保険（アフラック）が2010年に実施した「がんに関する意識調査」によると、がんに罹患した経験がない人のうち32.0％ががん治療や入院の際かかる想定費用として「300万円より多い」と回答しています。ところが、がんに罹患した経験がある人に対して実際治療にかかった費用を調査したところ「50万円程度」が37.5％、「100万円程度」が31.5％と、がん治療未経験者が想定している金額よりも大幅に安く抑えられていることが分かりました。ただし、アフラックはこの調査結果について、「保険が適用される治療費の範囲」や「がんのステージ」などによって治療費が異なるため、全てのがん治療において適応できる数字ではないとも回答しています。

一方、カーディフ生命保険が2013年に実施したアンケート調査では、がん経験者が回答した「闘病中にあれば安心できた金額」の平均金額は364万円であるという結果を発表。がん治療の想定費用と実際の費用の差は、精神的に安心できるだけの費用を用意しておきたいという心理が大きく働いていることが分かります。

がん保険は、自分自身や家族を守るためにも必要な保険の一つですが、保険料が高いのも特徴。 診断技術の進化やがん検診の普及度合いで、がん保険の支払い発生率は変化します。保険会社にとってがん保険は不確実性が高いため、保険料も死亡保障など他の保険より割高に設定されているのが現状です。
アフラックとカーディフ生命保険のアンケート調査からも読み取れるように、実際のがん治療に対してかかる費用は50万円～100万円程度。「備えあれば憂いなし」とやみくもにがん保険に加入するのは、がんに対する賢い備え方とは言えません。がん保険には保障金額、保険金の支払い形態、がん保険が適用になるがんの種類など、保険会社によって様々なタイプのがん保険があるため、世帯構成や家族の健康状態などと照らし合わせて、自分に最も合ったがん保険を絞り込むのが良いでしょう。

がん保険への加入を考える際は、その保険が自分にとって適切な額・範囲であるかしっかりと検討していくことが大切です。

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