保険まめ知識

第1回 保険会社の格付けとは?

保険は、旅行保険などの一部をのぞいて、ほとんどが長期間の契約になります。そのため、加入する保険商品だけでなく、その保険を販売する保険会社についてもよく比較して検討するのが、より賢い保険の選び方と言えます

ここでは、保険会社を選ぶ際に有力な指標となる保険会社格付けと、格付け情報以外で保険会社をチェックする際のポイントを見ていきます。

保険会社格付けとは

保険会社格付けとは、保険会社の債務履行能力を表した指標です
S&P(スタンダード&プアース)、ムーディーズなどに代表される専門の格付け機関によって行われており、その保険会社の信用度を、財務内容や組織の沿革、事業内容の分析、アナリストへのヒアリングや経営陣とのミーティングなどもふまえて、ある一定の基準に基づき「Aaa」「AAA」などの記号で評価しています。

ただし、格付けは保険会社の将来の信用リスクを示しているために絶対ではなく、格付け機関の調査方針や見解、格付けの方法論によって、同じ保険会社への評価でも信用格付けが異なる場合があります。また、ネット生保のような、比較的新しい保険会社の場合、格付けを評価するための実績(一般に3~5年程度)が足りず、格付け機関による格付けを取得できないケースもあります。

≪ おもな保険会社格付け ≫

S&P ムーディーズ R&I
アメリカンファミリー(アフラック) AA- Aa2
アクサダイレクト生命
オリックス生命 A- A
ソニー生命 A+ Aa3 AA
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命 AA- Aa3
東京海上日動あんしん生命 AA AA+
ライフネット生命

※注: ムーディーズはAaからCaaまでの格付けに、1、2、3という数字付加記号を加えている。数字付加記号は格付けグループ内での位置付けを示すために用いられ、1が上位、3が最下位である。ただし、文字格付け記号(Aaなど)が同一であれば、財務力はおおむね等しい。

コラム  ソルベンシーマージン比率

保険会社の信頼度をはかる指標として、格付け情報とセットで公開されることが多いのが、ソルベンシー・マージン比率です。
ソルベンシー・マージン比率とは、保険会社の支払い能力を示すもので、自然災害など予測不可能なリスクに対する、保険会社の支払い余力を表しています。決算ごとにそれぞれの保険会社が公表しており、ホームページ等で確認することも可能です。
一般的には、ソルベンシーマージン比率が200%を上回っていれば、支払い能力に支障がないとみなされますが、過去に倒産した保険会社の多くがソルベンシーマージン比率200%を超えていたことから、現在では、200%のラインが絶対の安全基準ではないとする見方が有力になっています。
また、ソルベンシー・マージン比率は、その保険会社の保険契約数や保険金支払いによってそのつど上下するため、現在の財務状況をチェックするためには有効ですが、必ずしも将来の財務安定性を保証するものでない点にも注意しましょう。

格付け以外に保険会社をチェックするポイントは?

公共性をもつ第三者(格付け機関)によって評価された保険会社の格付けは、保険会社の信頼度を示す有力な数値ですが、一方では、新興の保険会社に対して格付けを提供できない点や、債務の履行能力に特化した格付けとなるため、保険会社の成長性や保険商品の良し悪しといった総合的な観点での評価ができない点など、いくつかの弱点もあります。

そのため、気になる保険がある場合は、その保険を販売している保険会社の格付け以外にも、保険商品の説明が充分にされているか、カスタマーセンターの対応、企業の決算情報、ネットでの評判、周囲に加入者がいる場合はその体験談なども参考にすると良いでしょう。

保険会社を選ぶ際に意識したいのは、一つの指標だけでなく、複数の視点から保険会社をチェックし、真に契約者の立場に立った保険を提供している保険会社を見つけることです。 なお、「保険比較」内でも、ユーザーの口コミによる保険比較を行なっていますので、参考にしていただければ幸いです。

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