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隣家からの延焼で家が焼けてしまったら? 知っておきたい火災保険の落とし穴

日本損害保険協会は1月12日、昨年の12月に新潟県の糸魚川市で発生した大規模火災の保険金支払額(見込額含む)が約12億円に上ったことを発表しました。
120戸が全焼する大規模な災害として、国民の注目度も高かった糸魚川大火災。木造住宅が密集する地域の多い日本では、火災時の延焼の怖さについて改めて意識したという方も多いでしょう

出火元には延焼の賠償責任はない

糸魚川のケースのように、一軒から発生した火事が周辺一帯に燃え広がってしまったような場合、出火元に対して、なんらかの責任が問われるのでは?、と考える方もいるかもしれません。

火災 イメージ

しかし、火災の法律として知られる「出火責任法」によれば、失火(過失により発生した火事)の場合に限り、民法第709条の損害賠償責任を問わないことが定められています。つまり、重大な過失のない限り、出火元は延焼で発生した被害の責任を負う必要はありません

歴史的に、国民のほとんどが木造住宅に住み続けてきた日本では、火事は頻繁に発生し、すぐに燃え広がるものでした。このような建物事情では、出火元にすべての責任を負わせてしまうと、損害賠償額が個人の賠償能力をはるかに超えるものとなるため、火災については天災と同じような解釈がなされたのです。

ただし、出火元に損害賠償責任がないということは、被害を受けた側は、出火元から金銭的な補償を受けることができません。仮に、外部からの「もらい火事」で自宅が全焼してしまったら、再建する費用は自分自身で工面する必要があるのです

延焼被害で頼りになるのは自宅の火災保険

このようなときに重要度を増すのが、個々の住宅が加入する火災保険です。
火災保険は、自宅から発生した火事だけではなく、隣家などからの出火によって受けた自宅の損害もカバーすることができます
火災保険の加入率は、持ち家世帯で9割を超えており、延焼への備えがまったくない家庭は少数派ですが、火災保険に加入しているだけで安心してしまうのではなく、いざというとき充分な補償を受けられるかどうかについてもチェックしておく必要があります。

1998年以前の契約は要注意。火災保険の支払い基準は?

火災保険には、保険金を支払う際に、建物の保険金を「再調達価額」で支払う保険と「時価」で支払う保険があります。

「再調達価額」で支払う火災保険は、住宅を建てる際にかかった費用が保険金額となり、万一、火災で建物が全焼した際も、保険金の額面がそのまま支払われます。一方、「時価」で支払う火災保険の場合は、建物の保険金額を時価で計算するため、時間が経つにつれて補償される金額が下がっていきます。
1998年に保険料の料率が自由化されるまでは、保険金支払いを「時価」で行う火災保険が主流でしたが、現在は「再調達価額」での保険金支払いに対応している火災保険がほとんどです。

もしも、自宅の火災保険が1998年以前に契約したものであれば、延焼などで自宅が被害を受けた際に充分な補償を受けられない可能性もあるため、火災保険を見直してみると良いでしょう。

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