保険の必要性を考える

がん保険の通院保障は必要か
通院時に困らないためのがん保険の選び方

がん治療は通院の時代に

がん治療は通院の時代に

厚生労働省が発表した「平成26年 患者調査」によると、がん患者数は年々増加傾向にあります。 しかし、平成20年を境に入院者数と外来者数は逆転。平成26年のデータでは入院者数およそ13万人に対し、外来者数およそ17万人と、さらにその差が開きました。

医療技術の進歩により、がんは早期発見が可能となり、医療現場でのがん治療も、従来の「入院·手術」から「通院治療」の割合が多くを占めるようになっています

このような現状を受けて、がん保険も「通院保障」のある商品が増え、人気を集めています。しかし、一口に「通院保障」と言っても、保障内容は、保険会社やがん保険商品ごとに大きく異なります。
本特集では、がん保険の通院保障の基本を解説しながら、通院保障への加入は必要かどうかを考えます。

がん保険の通院保障とは

がん保険の通院保障とは、がんの治療のために通院した日を対象に、あらかじめ定められた給付金(日額)が支払われる保障のことです。例えば、通院給付金が1日あたり5,000円のがん保険の場合、がんの治療のため月に10日間通院すると50,000円の給付金を受けることができます。

これまでの一般的ながん保険は、がんと診断された際に支払われる「診断給付金」、がんの手術をした際に支払われる「手術給付金」、がんで入院した際に支払われる「入院給付金」の3つの保障が中心でした。

しかし、通院によるがん治療が中心となってきた現在、がん保険の「通院保障」に対する注目が急速に高まりつつあります

通院保障があれば大丈夫?がん保険の「通院保障」の注意点とは

通院によるがん治療の費用をカバーできるとして注目度の高い「通院保障」ですが、いくつか注意したい点もあります。

まず、がん保険の「通院保障」には、2つのタイプがあることを覚えておきましょう。
1つ目は、がんの治療のために入院し、退院後の通院に対して給付金が支払われるタイプ。このタイプの通院保障は、入院が不要な通院治療の場合、給付対象外となります。
2つ目は、放射線治療や抗がん剤治療など所定のがん治療を行う場合に、給付金が支払われるタイプ。こちらは、入院・通院の別を問わないケースが多く、入院不要ながん治療でも給付金を受け取ることが可能です。

どちらの通院保障のタイプも、「診断確定から1年以内の通院を保障」など、支給日数に関する条件が定められているケースがあります。また、ホルモン療法や経口抗がん剤治療など、比較的軽度ながんの治療が対象外となっていることもあるため、注意が必要です。 自分が求めている通院保障の内容と、保険商品が提示している保障内容とに認識のズレがないか、十分に確認しましょう。

通院時に慌てないためのがん保険の選び方

通院時に慌てないためのがん保険の選び方

がん保険の「通院保障」チェックしたとき、「入院·手術後」「最大〇日間」など様々な支払い条件が設定されている場合は、他の保障内容の充実度にも目を向けてみましょう。

例えば、がんの通院治療でよく行われる放射線治療·抗がん剤治療·ホルモン療法の個別治療の取り扱いも、がん保険のチェックポイントの1つです。これらの治療を受ける場合には、通院保障よりも個別治療ごとに給付が受けられる保障内容の方が、治療費負担を減らすことができるかもしれません。

言い換えれば、「通院保障」という言葉だけにとらわれず「通院時にどう備えるか」を、がん保険の保障内容全体を通して判断すべきとも言えます。保険金が支払われず「こんなはずじゃなかった」と慌てないよう、ここで紹介するポイントをがん保険加入前に必ずチェックしましょう。

抗がん剤の定義を確認する

「抗がん剤治療」を保障するがん保険の場合、抗がん剤の定義をしっかりと確認しておくことが必要です。抗がん剤の定義は保険会社により異なるため、約款で確認するか保険会社に直接問い合わせをしましょう。

ホルモン療法、経口投与剤など比較的軽微ながん治療の取り扱いはどうか

通院に伴う各種の治療に対し、どの範囲まで保障されるのかも必須の確認事項です。ホルモン療法は、乳がんや子宮がん、前立腺がんなどの治療で行われるケースが多く、抗がん剤も、注射だけでなく飲み薬(経口投与剤)で使用するケースが少なくありません。これらの治療が対象になっているかどうかもチェックしてみましょう。

保険期間を考える 終身か定期か

がん保険には保障が一生涯続く終身型と、一定期間のみ保障する定期型があります。一般的には、定期保険よりも終身保険の方が保険料は高くなります。終身型と定期型、どちらを選ぶべきかは、いつまで保障が必要かによって決まります。例えば「子どもが成人するまで」など、期間を決めてがん保障を手厚くしたいのであれば、保険料の安い定期のがん保険を検討しても良いでしょう。一方、現役時代から老後まで継続的にがん保障を準備したいという場合には、終身保険も選択肢になります。

支払い続けることのできる保険料か

保険料は月の固定費になります。無理なく支払い続けることができる保険料かどうかも、がん保険を選ぶ際に大切なポイントです。特に終身保険を選ぶ場合には保険料が高くなるため、引退後も支払いを続けることが可能かなどを慎重に判断しましょう。

注目のがん保険

アクサダイレクト生命「アクサダイレクトのがん終身」

アクサダイレクト生命「アクサダイレクトのがん終身」

ネット専業の生命保険会社·アクサダイレクト生命の終身型がん保険。基本保障は、がん治療のための入院で支払われる「がん入院給付金」と、初めてがんと診断された場合に支給される「がん診断給付金(がん入院給付金日額の100倍)」。診断給付金は初期のがん(上皮内新生物)でも満額が支払われる。その他、抗がん剤治療·手術·放射線治療のがん3大治療に関する保障(入院·通院問わず)をオプションで付帯可能。日本の名医にセカンドオピニオンを確認できたり、全国の専門臨床医紹介を受けられる医療相談サービスが無料付帯する

保険料
50歳男性 1,930円/月
50歳女性 1,225円/月

※試算条件…保険期間&保険料払込期間:終身、がん入院給付金:日額5,000円(がん診断給付金50万円含む)の場合

抗がん剤の定義 日本標準商品分類「8742 腫瘍用薬」。分類されていればホルモン剤も対象。

※参考)アクサダイレクト生命「アクサダイレクトのがん終身 ご契約のしおり・約款」

ライフネット生命「がん保険 ダブルエール」

ライフネット生命「がん保険 ダブルエール」

インターネットを主な販売経路とするライフネット生命の終身型がん保険。基本保障は、初めてがんと診断された場合に支給される「がん診断一時金」。軽度のがんである上皮内新生物では50%の給付となる。通院保障は「治療サポート給付金」としてベーシックプランとプレミアムプランに付帯。手術・放射線治療、抗がん剤治療(ホルモン療法含む)を入院・通院を問わず保障する。給付金の支払回数は回数無制限。また、がん診断確定後は保険料の払込みが不要となる

保険料
50歳男性 2,661円/月
50歳女性 2,110円/月

※試算条件…保険期間&保険料払込期間:終身、がん診断一時金:100万円

抗がん剤の定義
  1. 厚生労働大臣による製造販売承認時にがんに対する効能・効果が認められたもの
  2. 日本標準商品分類「8742 腫瘍用薬」、WHO医薬品分類「抗悪性腫瘍薬」「内分泌療法(ホルモン療法)」「免疫賦活剤」「免疫抑制剤」「治療用放射性医薬品」

※参考)ライフネット生命「がん保険 ダブルエール ご契約のしおり・約款」

Writer:久我裕紀

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