共働きの生命保険
万一の際に困らない夫婦の保険選びとは
女性の社会進出や、教育費の高額化などを背景に、近年、共働きの夫婦が増えています。
共働きの家庭では、夫と妻の両方が家計の収入を担っているため、片方に万一のことがあった場合でも、収入がゼロになる・・・ということはありません。
しかし、万一のリスクに備え、しっかりと対策を取っておくことが大切です。では、共働き夫婦の場合、どのような保険への加入を検討すると良いのでしょうか?
今回の特集では、共働き夫婦におすすめの生命保険をケース別にご紹介します。
共働き夫婦の保障計画
共働き夫婦が保険への加入を考える際、子供の有無で、検討する保険の種類が変わってきます。
ここでは、「子供がいる」「子供がいない」のケース別に、共働き夫婦が加入を検討すべき保険について見ていきましょう。
ケース1:子供がいる共働き夫婦
子供がいる共働き夫婦の場合、死亡に対するリスクに備えることが大切です。
ここで言うリスクとは、子供にかかる教育費・生活費等のこと。夫婦のどちらかに万一のことがあった場合でも、「公的保障+保険金」で子供にかかる費用をしっかりカバーできるようにしておきましょう。
ただし、支給される公的保障の内容が、夫が亡くなった場合と、妻が亡くなった場合とで異なる点には注意が必要です。さらに、保険への加入を検討する際に考慮すべき点も、夫と妻で異なります。
夫婦別 公的保障の内容と保険を検討する際のポイント ※夫と妻がそれぞれ会社員だった場合
夫が死亡した場合
〈妻が受けられる公的保障の内容〉
- 遺族基礎年金 ※子供が18歳未満の場合
- 遺族厚生年金
- 中高年寡婦加算 ※40歳以上で遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していて18歳以上の子供がいる場合、夫死亡時に40歳以上65歳未満で子供がいない場合
〈保険を検討する際のポイント〉
- 夫の収入が多い場合、ある程度、保障を手厚くしておく必要があるが、月々の保険料を考え、手厚くしすぎない
妻が死亡した場合
〈夫が受けられる公的保障の内容〉
- 遺族基礎年金 ※子供が18歳未満の場合
- 遺族厚生年金 ※遺族基礎年金を受給している場合、もしくは夫が55歳以上の場合
〈保険を検討する際のポイント〉
- 夫が住宅ローンの契約者である場合、返済が減らない点に注意する
- 妻が家事を行っていた場合、家事費用が発生する可能性がある
夫婦で保険への加入を検討する際、収入が多い方の保障を手厚くするのが一般的。
また、家庭によっては、夫のみ保険に加入しているケースもありますが、妻が亡くなった場合の公的保障や住宅ローンの返済(※夫が住宅ローン契約者の場合)等を考慮すると、夫だけではなく、妻も保険に加入し、夫婦で万一に備えておくことが大切です。
では、子供がいる共働き夫婦の場合、具体的にどのような保険への加入を検討すると良いのでしょうか?
加入を検討すべき保険は、大きく「生命保険(死亡保険)」または「収入保障保険」のいずれか。
それぞれの保険の特徴をチェックし、自身の家庭に合った保険への加入を検討すると良いでしょう。
生命保険(死亡保険)
生命保険(死亡保険)とは、契約者が死亡もしくは高度障害状態になった場合、遺された家族の生活を支えたり、葬儀費用のために保険金が支払われる保険のこと。
共働き夫婦の場合、夫と妻のどちらにも一定の収入があるため、片方に万一のことがあっても、もう片方に、生活に困らないだけの収入があれば、最低限の生命保険に加入しておけば問題ないといえます。
ただし、夫婦で収入に差がある場合は、収入の多い方に万一のことがあった際、充分な生活費や教育費を確保できない可能性があります。夫婦で死亡保障を準備する場合は、家計をメインで担っている方の保障を手厚くしましょう。
また、保険期間は、終身よりも定期にした方が、保険料は割安です。生命保険の加入を最低限にしたい場合は、定期保険を選択し、保険期間を子供が独立するまで等の一定期間に設定すると良いでしょう。
収入保障保険
収入保障保険とは、契約者が死亡もしくは高度障害状態になった場合、契約期間満了まで、毎月、一定額の保険金が支払われる保険のこと。(※保険商品によっては、保険金の一括受け取りも可能)
一般的な家計では、子供が成長するにつれて、必要になる教育費・養育費も少しずつ減っていきます。収入保障保険は、このような、家計が必要とする教育費・養育費のラインに合わせて、保障額が年々減っていく仕組みを採用しており、その分、毎月の保険料を抑えることが可能です。「子供が経済的に自立するまで」というように、一定期間の死亡保障を準備するのであれば、「収入保障保険」への加入を検討すると良いでしょう。
≪ 編集部おすすめの収入保障保険 ≫
保険料 |
年金月額10万円、60歳満了、年金支払保証期間5年の場合
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保障内容 |
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加入可能年齢 | 満20歳~満60歳まで ※保険期間・保険料払込期間等の組み合わせにより、加入できない場合あり |
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保険期間・保険料払込期間 |
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特徴 |
インターネット専業の生命保険会社「アクサダイレクト生命」が提供する収入保障保険。公式サイト上で保険料の試算や申し込みが可能。引き受け可能となった場合は、申込日から保障が開始されるなど、スピーディーな対応に定評がある。 ネット生保ならではの手頃な保険料も特長。年齢とともに保険料が上がることはなく、契約満了まで加入時の保険料のままという点も嬉しい。 加えて、年金の受取方法を、「毎月」または「まとめて」から選択できる他、年金支払い保証期間も「2年」と「5年」から設定可能。 その他にも、医師や看護師などへの健康相談をはじめ、無料で利用できるサービスが充実している。 |
ケース2:子供がいない共働き夫婦
一方、子供がいない共働き夫婦の場合、死亡よりも、働けなくなるリスクに備えることが大切です。
夫婦の片方が病気・ケガにより働けなくなるリスクに備える
夫婦のうちどちらかが、病気やケガにより働けなくなった場合、入院費や治療費に多額のお金がかかります。共働き夫婦の場合、子供にかかる出費がないこともあり、ある程度、貯蓄に余裕があるケースも少なくありませんが、病気やケガによる入院・治療が長引けば、その分、入院費・治療費が高額に。その結果、貯蓄を切り崩したり、生活を圧迫したりする可能性が高くなりるため、こうしたリスクにもしっかり備えておくと良いでしょう。
相手が死亡した後、自分が働けなくなるリスクに備える
共働き夫婦の場合、万一相手が死亡した場合でも、もう片方は働いており、定期的な収入が見込めます。また、子供にかかる費用もないため、自分一人が生活しているだけのお金があれば問題ありません。
しかし、万一、自分が病気やケガにより働けなくなってしまった場合、収入が大きく減ってしまう可能性があるため、このリスクに備えることが大切です。
病気やケガなどにより、万一働けなくなってしまった場合、「傷病手当金」「障害年金」といった公的保障を受けることが可能です。ただし、「傷病手当金」は支給期間が最長1年6ヵ月間と決まっており、「障害年金」の場合も、障害認定をはじめ、受給するには条件があり、働いていた時と比べて収入減を避けることは難しいでしょう。
そこで、このリスクをカバーするために、加入を検討したいのが「就業不能保険」。
「就業不能保険」とは、病気やケガといった所定の就業不能状態と診断され、働けなくなった場合、毎月一定額の保険金が支払われる保険です。
保険商品によって、「就業不能状態」の定義が異なり、多くの就業不能保険では精神疾患が「就業不能状態」に含まれていない点には注意が必要ですが、働けなくなるリスクへの備えとして検討すると良いでしょう。
≪ 編集部おすすめの就業不能保険 ≫
保険料 |
就業不能給付金月額:10万円、保険期間・保険料振込期間:60歳、免責期間:60日、就業不能給付金の受け取り方:標準タイプ(A型)の場合
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保障内容 |
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加入可能年齢 | 20歳~60歳 | ||||||||
保険期間・保険料払込期間 |
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免責期間 | 就業不能状態となってから60日、180日 | ||||||||
就業不能状態 |
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特徴 |
2016年6月から、ネット保険「ライフネット生命」が提供を開始した就業不能保険。 保障内容や保険期間・保険料払込期間、実際に給付金が支払われるまでの免責期間等を、自分のニーズに合わせて選択可能。就業不能状態になった場合の「就業不能給付金」に加え、高度障害状態になった場合には「高度障害給付金」も受給できる。 保障の対象となる「就業不能状態」に、うつ病をはじめとする精神疾患が含まれていない点には注意が必要だが、就業不能保険への加入を検討する際は、ぜひ候補に入れておきたい。 |
共働き夫婦の保障計画~自営業の場合
では会社員ではなく、自営業で生計を立てている共働き夫婦は、どのような保障計画を立てておくと良いのでしょうか?
自営業の場合、会社員と比較すると、最低限の公的保障しか受けることができません。
例えば、自営業で働く人に万一のことがあった場合、以下のリスクが考えられます。
死亡した場合
- 18歳未満の子供がいる場合のみ遺族基礎年金の受給が可能(→子供がいない場合、遺族基礎年金は支給されない。)
- 遺族厚生年金や遺族共済年金は対象外
働けなくなった場合
- 傷病手当金なし(国民健康保険加入者は、傷病手当金対象外に)
- 障害等級1級、2級に該当した場合のみ障害基礎年金が支払われる
- 障害厚生年金や障害共済年金は対象外
上記の通り、自営業の人に万一のことがあった場合、会社員と比較し、十分な公的保障を受けることが難しいと考えられます。
つまり、この点をカバーするという意味でも、夫婦の両方、あるいは片方が自営業として働いている場合は、保障を手厚くしておくと良いでしょう。
まとめ
共働き夫婦の生命保険特集はいかがでしたか?
共働き夫婦といっても、子供の有無や就労形態によって、考えられるリスクや、加入を検討すべき保険が異なってきます。
片方に万一のことがあった場合でも、遺された家族がしっかりと生活していけるよう、自身の家庭に合った保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。
Writer:溝口麻衣