お役立ち保険情報

長寿と保険
長生きがリスクになる時代に?トンチン保険と老後資金の考え方

長生きをリスクにしないために

長生きをリスクにしないために

日本の平均寿命は年々伸びており、世界的にも長寿大国として知られています。しかし今後、十分な老後資金が準備できていない、いわゆる「貧困高齢者層」が増えることも予測されており、「老後の悠々自適な生活」は過去のイメージになりつつあります。

また、平均寿命が延びる一方、病気等で日常生活に影響なく過ごせる「健康寿命」との差は縮まっていないという現状も。それに加え「自分は年金をもらえるのだろうか」と、現行の年金制度への不信感を持っている方も少なくないでしょう。

これらの原因から、長生きがリスクになる時代とも言えるかもしれません。本特集ではまず、長寿リスクに備えるためのトンチン保険(トンチン年金)について解説し、保険や年金以外で老後資金を貯めるための方法も紹介します。

トンチン保険(トンチン年金)の仕組み

トンチン保険とは、イタリア人銀行家のロレンツォ・トンティ氏が考案した保険制度。長生きをするほど、多くの保険金を受け取ることができる保険商品です。通常の生命保険のような「死亡保険金」や「解約返戻金」を減らすことで、生きている保険加入者の年金額を大きくする仕組みになっています。

日本で発売されている代表的なトンチン保険には、日本生命の『グランエイジ』、第一生命の『ながいき物語』などがあります。どちらも50歳から払い込みをはじめ、70歳以降に年金の受け取りがスタート。70歳以降は、亡くなるまでの期間ずっと年金が支払われるため、長生きするほど得をする保険商品です。

ただし、現状、日本のトンチン保険は、70歳から90歳前後まで年金をもらい続けてようやく元が取れるようになるため、それよりも前に亡くなった場合には、受け取る年金よりも支払う保険料のほうが多くなる、いわゆる元本割れの状態になります。つまり、誰にでもメリットのある商品とは言い難いでしょう。

保険料を比較した場合も、一般的な生命保険が月額1万円台であるのに対し、トンチン保険は月額5~6万円と、毎月の生活に余裕がなければ保険料を払い続けることすら難しくなっています。

トンチン年金の保険料(例)

日本生命『グランエイジ』
月額5万790円(50歳男性)月額6万2,526円(50歳女性)

第一生命『ながいき物語』
月額4万8,000円(50歳男性)月額6万円(50歳女性)

生命保険保険料平均(個人年金保険の保険料を含む)

  • 男性平均:月額1万9,000円(年額22万8,000円)
  • 女性平均:月額1万4,500円(年額17万4,000円)

※生命保険文化センター「平成28年 生活保障に関する調査(PDF)」を元に算出。

老後資金を貯める保険以外の選択肢

資金に余裕のある方はトンチン保険を検討してもいいかもしれませんが、老後は病気や怪我のリスクが増えることを考えると、「最優先」にはできません。では、保険以外で老後資金を準備するためには、他にどのような選択肢があるのか見ていきましょう。

保険を見直す

すでに何らかの生命保険に加入している方は、まず、その保障内容と保険料を見直すことから始めましょう。保険料の節約ができれば、節約分を老後のための貯蓄や投資に回すことができます。

生命保険は、保障額を減額するだけでも保険料を抑えることが可能。たとえば、一般に子供の独立後は、高額な死亡保障は不要です。育児期間中と同程度の死亡保障のある生命保険に加入している場合は、保障内容を見直してみましょう。また、終身型から定期型の生命保険に切り替えると、より保険料の節約効果が高まります

関連特集
生命保険の選び方

とはいえ、複数の保険商品の中から最適なものを選ぶのはハードルが高いという方もいるでしょう。そのような場合には、無料の保険相談窓口を利用を検討してみてはいかがでしょうか。最近は、ショッピングモール等に店舗を持つ保険ショップや、独立型のFPを派遣するなどして、公平な立場から最適な保険商品を提案してくれるサービスがありますので、上手に活用してみましょう。

保険クリニック

保険クリニック・画像

アイリックコーポレーションが実施する無料保険相談。全国に175店舗を展開している。独自の保険分析ソフト「保険IQシステム」を使用し、相談者1人1人の保険加入状況などを分析。アドバイザーの経験や感情によるばらつきをなくし、中立の立場からの保険提案を実現している。

保険マンモス

保険マンモス・画像

保険マンモスが運営する無料保険相談。インターネットや電話で相談を依頼すると特定の保険会社に所属しない独立系のFP(フィナンシャルプランナー)が自宅や指定の場所まで出向き、保険相談に応じてくれる。保険の強引な勧誘等があった場合にFPの交代を行うイエローカード制も導入。

投資・資産運用

老後に資金にゆとりのある生活を送るためには、お金を「貯める」だけでなく「増やす」ことについて考えてみることも重要です。
ここでは、運用益などが非課税になる投資優遇制度や、元本保証のある金融商品など、投資をする際に覚えておきたい3つの選択肢をご紹介します。

NISA

2014年に始まった少額投資非課税制度、NISA。年間120万円までの非課税投資枠が設けられており、投資金額分から生じた運用益が非課税になる制度です。NISAの対象は上場株式、ETF、投資信託で、自ら投資対象を選択します。ETFやインデックス型の投資信託は、値動きが比較的ゆるやかなので、大きなリスクを取りたくない方に向いています

2018年1月から開始される「つみたてNISA」にも注目が集まっていますが、年間の非課税投資枠が40万円と少なめ。非課税期間が長い(20年)というメリットはあるものの、従来のNISAにと比較すると投資対象も限られています。定年まで余裕があり、長期運用を考えている方であればつみたてNISAも有力な選択肢となりますが、定年が迫っている方であれば従来のNISAがおすすめです。

≪ NISAにおすすめの証券会社 ≫

SBI証券

SBI証券

インターネット専業の証券会社。NISA口座での国内株式(現物株式・ETF・ETN・REIT含む)の買付・売却が無料。海外ETFの買付手数料も無料となっている。NISA対象の投資信託の取り扱い本数もネット証券トップクラス。iDeCoについても証券会社受け取り分の手数料を無料としており、投資信託の取り扱い本数も63本と多い。

iDeCo

「定年までは少し余裕がある」という方は、iDeCo(個人型確定拠出年金)も有力な選択肢になります。

NISA同様、iDeCoの運用益も非課税になりますが、そのほか、独自の税制面におけるメリットもあります。iDeCoの掛け金は、月5,000円以上から1,000円単位で設定することが可能で、全額所得控除の対象となります。また、年金を受け取る際にも年金として受け取る場合には「公的年金控除」、一時金として受け取る場合には「退職所得控除」が適用されます。

ただし、iDeCoは老後の資金形成が最大の目的であるため、原則60歳になるまで引き出しができません。また、iDeCoの商品は、金融機関ごとに各種手数料の金額が大きく異なります。商品のラインナップに加え、口座維持手数料などにも留意しましょう。

≪ iDeCoにおすすめの証券会社 ≫

楽天証券

楽天証券

楽天グループが運営するネット証券会社。iDeCoの楽天証券受け取り分の運営管理手数料は無料(国民年金基金連合会等が設定する口座管理手数料は別途必要)。初心者が選びやすいよう28本の投資信託を厳選し提供している。

個人向け国債

より安全に資産運用をしたいという方は、個人向け国債も選択肢になります。個人向け国債には「3年満期型(固定金利)」「5年満期型(固定金利)」「10年満期型(変動金利)」の3種類があり、いずれも1年経過後であれば元本割れせずに償還することが可能です。1万円以上、1万円単位で購入でき「最低金利保証(0.05%)」があるのも魅力の一つ。老後の資金を「少しずつでも確実に増やしたい」という方向きです。

なお、国債は国が債務不履行状態にならない限り元本は保証されますが、中途解約時には一定の受け取り利息が差し引かれるため、タイミングによっては、わずかながら元本を割り込むケースも想定されます。

まとめ

まとめ

長寿と保険、いかがでしたか。 トンチン保険の登場に代表されるように、老後資金について不安を募らせている方は決して少なくありません。いずれくる老後を穏やかに過ごすためには、一刻も早く貯蓄をスタートするのが基本中の基本です
まずは不要な保険の見直しからはじめ、節約できたお金を貯蓄・投資に回すように意識してみてはいかがでしょうか。

また、今回紹介したつみたてNISAやiDeCoは、定年まで余裕のある場合の長期運用に最適です。定年まで時間がないという方は、従来のNISAで余裕資金を運用する方法を検討しましょう。

本来、長生きすることは、人にとって喜ばしいことです。老後を少しでも楽しく、お金の心配をせずに過ごせるよう、早いうちから老後を見据え、様々な方法で資金準備を進めておきましょう。

Writer:久我裕紀

ページトップへ

ページトップへ