火災保険と地震保険
2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震など、日本が地震大国であることを疑う余地はありません。2002年には約3割だった地震保険の加入率は、年々増加しており、熊本地震を受け、2017年には遂に加入率が約62%まで上昇。もはや地震保険は、火災保険の加入と同時に多くの人が入る保険になっています。
地震保険は保険料の高さがネック
一方で、地震の脅威は感じていても、保険料が高くて加入に踏みきれない、という人も少なくありません(※特に近年の地震の増加によって地震保険の保険料は定期的に見直されており、その都度保険料がアップしています)。また地震保険は都道府県によって保険料が異なり、地震危険度が高い地域ほど保険料も高くなります。
※地震保険の世帯加入率(2017年度)
全国平均は62.2%だが、地震保険の加入率が最も高い宮城県の付帯率はなんと86.3%、次に加入率が高い高知県の地震保険付帯率も85.2%と8割を大きく超えています。なお、首都圏を見ると東京は58.7%、神奈川は59.7%と全国平均を若干下回っています。加入率が最も低いのは長崎県で全国で唯一50%を下回る47.5%となっています。この結果を見ても地震保険には今は過半数の人が加入していると言って良いでしょう。
地震保険の保険料はエリアごとに決まった価格となっているため、所定の割引(建物の建築年数や耐震診断の有無等によって受けられる)以外では、大きく保険料を引き下げる方法はありません。
ただし、地震保険を付帯する火災保険については、保険会社や補償内容によって大幅に保険料が変わります。つまり、火災保険の保険料を抑えることができれば、火災保険+地震保険のトータルでの保険料負担を減らすことが可能になるのです。
ここでは、地震保険を検討している方向けに、地震保険の基礎知識や火災保険の見直し方を解説。地震保険にお得に加入する方法を紹介していきます。
Chapter1:地震保険とは?
地震保険は、大規模地震が発生した場合の生活再建を目的として、政府と民間の損害保険会社が共同で運営する保険です。地震保険は、その保険単独では加入することができず、必ず火災保険とセットで契約する必要があります。 保険金額は、火災保険で設定した保険金額の最大50%まで。また、建物の被害状況(全損、半損、一部損)によって支払額が変わります。
火災保険や自動車保険など損害額と同等の補償を受けられる他の損害保険と比較すると、地震保険は加入条件や支払条件に制約が多くなっています。これは地震という災害が、一度起これば周辺一帯が被害を受ける「エリア災害」であるためです。何万世帯にものぼるであろう被災世帯に対して、契約通りの保険金の支払いを担保するために、保険金額には上限が設けられ、支払い基準も3段階に簡素化されています。
【チェック】地震保険は、火災保険で設定した保険金額の、最大50%までしか補償されないのは説明した通り。この補償額では少ないと感じる方は、東証一部に上場するSBIグループのSBI少額短期保険が提供する地震保障保険リスタへの加入を検討すると良いでしょう。地震保障保険リスタは、2019年1月時点で、火災保険の有無関係なく、唯一単独で申し込むことができる地震保障保険です。また、リスタは、地震保険とは異なり、自宅の再建費用の不足分や生活必需品、仮住まいの費用に充当できる点も高い人気を獲得している理由の一つでしょう
Pickup! SBI少額短期保険 地震補償保険リスタ
東証一部に上場するSBIグループの「SBI少額短期保険」が提供する、日本で唯一の地震保障保険
リスタは、地震保険では補償が受けられない部分の補償に対応しており、自宅の再建費用の不足分はもちろん、生活必需品の購入や仮住まいのためにかかる費用としても利用できる。地震保険は、火災保険に加入(または見直す)するタイミングでしか申し込めないが、リスタは単独での申し込みに対応。地震にしっかり備えておきたい方からの支持を集めている。
地震保険の特徴
- 政府と民間の損害保険会社が提携して運営
- 単独加入はできない(必ず火災保険に付帯する)
補償内容
- 補償される額は火災保険の保険金額の30~50%以内(建物5,000万円まで、家財1,000万円まで)
- 被害状況に応じて支払われる保険金額が変わる(全損、半損、一部損)※生活再建に役立つだけの資金が支払われるのは全損・半損の場合
- 保険金は時価払い
- 保険期間は1年~最長5年※長期契約になるほど保険料が割引になる
地震保険の保険料
- 建物の所在地(都道府県の地震危険度)と、建物の構造(木造、非木造の2ランク)により異なる
- 最大30%の割引制度あり(建築年割引10%、耐震診断割引10%、耐震等級割引10~30%、免震建築物割引30%。各割引は重複不可)
- 損害保険会社による保険料の差はない
- 2014年だけではなく、2017年にも値上げされました
≪ 地震保険の補償内容 ≫
全損 | |
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建物 |
下記のいずれか
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家財 | 損害額が時価の80%以上 |
補償額(建物・家財) | 保険金額の100% |
半損 | |
建物 |
下記のいずれか
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家財 | 損害額が時価の30%以上80%未満 |
補償額(建物・家財) | 保険金額の50% |
一部損 | |
建物 |
下記のいずれか
|
家財 | 損害額が時価の10%以上30%未満 |
補償額(建物・家財) | 保険金額の5% |
Check! 地震保険の保険料
Chapter2:火災保険の見直し
火災保険の保険料は、物件購入時や住宅ローン借入時に一括で支払っていることが多いため、見直すという感覚がピンとこない人も多いでしょう。
ただし、加入している火災保険の補償内容を確認すると、自宅には不要な補償が付帯されていることがあり(高台なのに水災がある、建物だけでなく家財にも風災が付いている等)、これらの補償をはずすことによって、支払った保険料の還付を受けることができます。
火災保険の見直し方
まだ保険期間が残っている場合は・・・
保険会社に補償内容の見直しを相談。不要な補償をはずすことができれば、その分の保険料が残存の保険期間から計算されて戻ってくる。外したい補償がすべて外せない場合は、現在の火災保険を解約し、別の火災保険に乗り換えてもOK。この場合も、加入中の火災保険については支払い済み保険料が残存の保険期間から計算されて戻ってくる
火災保険に新規で加入する、あるいは火災保険の更新が迫っている場合は・・・
加入する前(更新する前)に補償内容をよく確認。自分の家に必要な補償かどうかをチェックして、不要な補償は外した状態で保険料を試算してもらう。複数の火災保険に保険料の試算を依頼し比較するのもおすすめ
Pickup! ジェイアイ傷害火災保険『ダイレクト火災保険iehoいえほ』
JTBとAIUが出資し、設立されたジェイアイ傷害火災保険が、2018年から新たに提供を開始した火災保険。
いえほはインターネット経由からの申し込みに特化することで、他の火災保険と比べても割安な保険料を実現。利用者から高い満足度を獲得しており、急速に利用者を増やしている。またダイレクト型火災保険といっても、地震保険はしっかり取り扱っており、火災保険への加入と同時に申し込める。
≪ 火災保険のおもな補償内容と見直しのポイント ≫
火災リスク | 火災・落雷・破裂・爆発 |
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風災リスク | 風災・ひょう災・雪災 |
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水災リスク | 水災 |
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その他 (保険会社によって区分方法が異なる) |
盗難 |
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水濡れ |
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物体の落下・飛来・衝突・倒壊 |
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騒じょう・労働争議 |
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破損・汚損 |
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諸費用(費用保険金) |
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火災保険の見直し事例を見てみよう
神奈川県・木造一戸建て(H構造)・築10年・延床面積90平方メートルの場合
今まで加入していた火災保険 ※オールインワン型
住宅購入時に不動産会社に紹介された火災保険にそのまま加入。補償内容や保険金額もすべてお任せした。地震保険も検討したが、保険料が毎年3万5,000円かかると聞いて断念……。
- 建物…1,520万円
- 火災、破裂・爆発、落雷、物体の衝突・落下、水濡れ、騒じょう、風災・ひょう災・雪災、水災、盗難、破損、各種費用保険金 [免責:0円]
- 家財…770万円
- 火災、破裂・爆発、落雷、物体の衝突・落下、水濡れ、騒じょう、風災・ひょう災・雪災、水災、盗難、破損、各種費用保険金 [免責:0円]
保険料=39万1,010円〔10年間一括払〕
地震保険(1年間)を付帯すると・・・
保険料=42万6,850円〔10年間一括払〕※地震保険は1年分
セゾン自動車火災保険 ※カスタマイズ型
家は高台にあるため「水災」の補償をはずし、「諸費用(費用保険金)」も貯金でカバーすることにした。高台で風の影響を受けやすいため「風災」は免責0円を選択。ただし家財については、「風災」は不要と判断し、補償をはずした。
- 建物…1,830万円
- 火災、破裂・爆発、落雷、風災[免責:0円]、物体の衝突・落下、水濡れ、騒じょう、盗難
- 家財…830万円
- 火災、破裂・爆発、落雷、物体の衝突・落下、水濡れ、騒じょう、盗難
保険料=18万6,640円〔10年間一括払〕
地震保険(1年間)を付帯すると・・・
保険料=22万4,140円〔10年間一括払〕※地震保険は1年分
火災保険の補償を見直しただけで保険料が10万円近く下がった!
差額の払い戻し保険料で地震保険への加入も可能に。地震保険を5年契約でかければ、1年当たりの地震保険料をさらに下げることができる。
このように、補償の要不要を見極めることで、火災保険の保険料は大幅に抑えることができます。
補償の付け外しが可能かどうかは、保険会社によって異なるため、加入中の火災保険がある場合は、保険会社に問い合わせてみましょう。
火災保険には、複数の補償がセットになっている「パッケージ型」と、契約者が自由に補償を選択できる「カスタマイズ型」があります。補償の見直しに向いているのは「カスタマイズ型」の火災保険。基本補償以外のすべての補償を「建物」と「家財」のそれぞれで選ぶことができます。
≪ 火災保険の見直しにおすすめの火災保険 ≫
セゾン自動車火災保険のカスタマイズ型火災保険。基本補償(火災・落雷・破裂・爆発)以外をすべて自由に付けはずしできる。インターネットでの見積もりが可能
AIU保険のカスタマイズ型火災保険。セゾンと同じく基本補償以外の補償を自由に選ぶことができる。オール電化割引・ノンスモーカー割引など割引制度も充実
コラム:地震でも100%の補償を受けたいときは?
地震保険の保険金額は、火災保険の最大50%までです。つまり、地震で建物が全損した場合でも、地震保険だけでは再び同じ家を建てられるだけの金額は支払われません。
ただし、民間の少額短期保険会社や損害保険会社には、火災保険に上乗せできる地震補償を用意しているところがあります。
特に少額短期保険会社が提供する地震補償は、単独でも加入することができるため、地震保険の追加補償としてはもちろん、現在、地震保険に加入していない人にとっても利用価値が高いでしょう。
Pickup! SBI少額短期保険『地震補償保険リスタ』
Pickup! 東京海上日動『トータルアシスト超保険』